みなさん、ExcelとAIを合わせて使うとより効率よくExcel作業がはかどることをご存じでしょうか?今回はExcelとChat GPTを組み合わせて利用することが出来るAI関数の使い方をまとめてご紹介します。
AI関数とは?
ChatGPT for ExcelというOfficeアドインを使うと、「AI関数」を利用することができます。
現在は全部で8種類のAI関数を利用することができます(2025年2月時点)。
この記事では全文のAI関数の使い方をご紹介していきます。
AI関数の種類
- AI.ASK関数(質問に回答する)
- AI.CHOICE関数(複数の選択肢の中から最適なものを選択する際に非常に役立つ機能です)
- AI.EXTRACT関数(テキストから指定のデータを抽出)
- AI.FILL関数(サンプルデータから予測して回答)
- AI.FORMAT関数(テキストを指定のフォーマットに出力)
- AI.LIST関数(質問にリスト形式で回答)
- AI.TABLE関数(指示をもとに表を作成)
- AI.TRANSLATE関数(テキストを指定の言語に翻訳)
AI.ASK関数でできること
ExcelのAI関数「AI.ASK」は、AIが自動で回答してくれる便利な機能です。まるで、Excelに搭載されたチャットボットのように、質問に答えてくれます。
AI.ASK関数でできることの一例
- データの解説: 「このグラフは何を表していますか?」といった質問に対し、グラフの概要や傾向を説明してくれます。
- データの分析: 「この商品の売上は前年比で何%増加しましたか?」といった質問に対し、データを分析し、結果を回答してくれます。
- 情報の検索: 「〇〇会社の最新の売上高を教えて」といった質問に対し、インターネット上の情報を検索し、結果を回答してくれます。
- 計算: 「100ドルの日本円換算はいくらですか?」といった質問に対し、計算を行い、結果を回答してくれます。
- 一般的な質問: 「今日の天気は?」「〇〇について教えて」といった一般的な質問にも回答してくれます。
AI.ASK関数の仕組み
AI.ASK関数は、自然言語処理と大規模言語モデルという技術を用いて、質問を理解し、適切な回答を生成します。
具体的な仕組み
- 質問の入力: 自然言語で質問を入力します。
- 質問の理解: AIが質問を理解し、必要な情報を特定します。
- 回答の生成: 特定された情報に基づいて、回答を生成します。
- 回答の出力: 生成された回答がセルに表示されます。
AI.ASK関数の活用例
Excel
=AI.ASK("A2:A10の売上データの平均値を教えて")
上記の例では、A2からA10の範囲にある売上データの平均値を計算し、結果を表示します。
AI.ASK関数の注意点
- 質問の明確さ: 質問が曖昧だと、意図した結果が得られない場合があります。
- 回答の正確性: AIが生成する回答は、AIが学習したデータに依存するため、必ずしも正確ではありません。
- インターネット接続: インターネット上の情報を検索する場合、インターネット接続が必要です。
AI.CHOICE関数
ExcelのAI関数「AI.CHOICE」は、複数の選択肢の中から最適なものを選択する際に非常に役立つ機能です。これは、AIが過去のデータやパターンを学習し、与えられた条件に基づいて最も適切な選択肢を提示してくれるという仕組みです。
AI.CHOICE関数でできることの一例
- 最適な商品の推薦: 顧客データに基づいて、その顧客に最適な商品を推薦することができます。
- 最適なマーケティング戦略の選択: 過去のマーケティングデータに基づいて、最も効果的なマーケティング戦略を選択することができます。
- リスクの低い投資先選択: 過去の株価データや経済指標に基づいて、リスクの低い投資先を選択することができます。
- 最適なルートの選択: 交通情報や過去の移動履歴に基づいて、最適なルートを提案することができます。
AI.CHOICE関数の仕組み
AI.CHOICE関数は、機械学習という技術を用いて実現されています。過去のデータからパターンを学習し、新しいデータに対して予測を行うことで、最適な選択肢を提示します。
具体的な仕組み
- データの準備: AI.CHOICE関数に与えるデータとして、過去のデータ(例:顧客の購買履歴、商品の売上データなど)を用意します。
- 学習: AIは、与えられたデータからパターンを学習します。
- 予測: 新しいデータ(例:新たな顧客の属性)を入力すると、AIは学習したパターンに基づいて、最適な選択肢を予測します。
AI.CHOICE関数の活用例
=AI.CHOICE(A2:A10, B2:B10, "顧客A")
- A2:A10: 商品名
- B2:B10: 商品の売上数
- “顧客A”:予測したい顧客
上記の例では、顧客Aに最適な商品を予測します。AIは、過去の売上データから、顧客Aの属性に合った商品を予測し、その商品名を返します。
AI.EXTRACT関数
ExcelのAI関数「AI.EXTRACT」は、テキストデータから特定の情報を抽出することに特化した機能です。まるで人間が文章を読み込んで必要な部分だけを抜き出すように、AIがテキストデータを分析し、指定した情報を正確に抽出します。
AI.EXTRACT関数でできることの一例
- 住所から郵便番号の抽出: 長文の住所から、郵便番号だけを正確に抜き出す。
- メールアドレスの抽出: 文中に含まれる複数のメールアドレスを全て抽出する。
- 製品名やモデル名の抽出: 商品の説明文から、製品名やモデル名を正確に抽出する。
- 特定のキーワードを含む文章の抽出: 長文の文書から、特定のキーワードを含む文章のみを抽出する。
- 日付の抽出: 文中に含まれる様々な形式の日付を統一した形式で抽出する。
AI.EXTRACT関数の仕組み
AI.EXTRACT関数は、自然言語処理という技術を用いて実現されています。AIは、文法や語彙の意味を理解し、文脈から必要な情報を抽出します。
具体的な仕組み
- テキストの入力: 抽出したいテキストを入力します。
- 抽出条件の設定: 抽出したい情報の種類(例:電話番号、日付など)を指定します。
- 情報抽出: AIがテキストを分析し、指定した情報を抽出します。
AI.EXTRACT関数の活用例
=AI.EXTRACT(A2, "電話番号")
- A2: 抽出したいテキストが入力されているセル
- “電話番号”:抽出したい情報
上記の例では、A2セルに入力されたテキストから、電話番号を抽出します。
AI.EXTRACT関数の注意点
- 抽出精度: AIの学習データや抽出条件によって、抽出精度は異なります。
- 曖昧な表現: 曖昧な表現が含まれるテキストでは、正確な抽出が難しい場合があります。
- 計算資源: 複雑な抽出処理を行う場合は、計算時間がかかることがあります。
AI.FILL関数
ExcelのAI関数「AI.FILL」は、既存のデータのパターンを学習し、空欄部分を自動で埋めることができる便利な機能です。いわば、Excelシートの「塗り絵」のようなもので、塗り絵のルールをAIが学習し、残りの部分を塗りつぶしてくれるイメージです。
AI.FILL関数でできることの一例
- 数値の連続入力: 1, 2, 3, …といったように、数値が連続するセルを自動で埋める。
- 日付の自動入力: 日付が連続するセルを自動で埋める。
- 曜日名の自動入力: 月曜、火曜、水曜…といったように、曜日名を自動で埋める。
- 規則的な文字列の入力: A1, A2, A3…といったように、規則的な文字列を自動で埋める。
AI.FILL関数の仕組み
AI.FILL関数は、機械学習の一種であるパターン認識の技術を用いています。既存のデータからパターンを学習し、そのパターンを基に空欄部分を予測します。
具体的な仕組み
- データの学習: AI.FILL関数は、指定された範囲のデータから、数値の増減、文字列のパターンなど、様々なパターンを学習します。
- パターンの適用: 学習したパターンに基づいて、空欄部分を予測し、自動で埋めていきます。
AI.FILL関数の活用例
=AI.FILL(A2:A5, A6)
- A2:A5: 学習するデータの範囲(例:1, 2, 3, 4)
- A6: 予測したいセル(例:5)
上記の例では、A2からA5までの数値を学習し、A6に続く数値を予測します。
AI.FILL関数の注意点
- データの正確性: 学習データが正確でないと、予測結果も正確ではありません。
- パターンの複雑さ: 複雑なパターンを学習する場合、正確な予測が難しい場合があります。
- 範囲の指定: 学習範囲を適切に指定しないと、意図しない結果になることがあります。
AI.FORMAT関数
ExcelのAI関数「AI.FORMAT」は、テキストデータを様々なフォーマットに変換することができる便利な機能です。まるで、文章の整形師のように、テキストデータをあなたの思い通りの形に変えてくれます。
AI.FORMAT関数でできることの一例
- 日付のフォーマット変換: 米国式の日付を日本式の日付に変換したり、日付の表示形式を自由にカスタマイズしたりできます。
- 数値のフォーマット変換: 数字を金額形式に変換したり、小数点以下の桁数を調整したりできます。
- テキストの整形: 大文字小文字の変換、不要な文字の削除、特定の文字列の置換など、テキストの整形を自動化できます。
- データ形式の変換: テキスト形式の日付を日付形式に変換したり、数値形式の文字列を数値に変換したりできます。
AI.FORMAT関数の仕組み
AI.FORMAT関数は、自然言語処理の技術を用いて、テキストデータを解析し、指定されたフォーマットに変換します。
具体的な仕組み
- テキストの入力: 変換したいテキストを入力します。
- フォーマットの指定: 変換後のフォーマットを指定します(例:日付形式、通貨形式など)。
- フォーマット変換: AIがテキストを解析し、指定されたフォーマットに変換します。
AI.FORMAT関数の活用例
=AI.FORMAT(A2, "yyyy年mm月dd日")
- A2: 変換したい日付が入力されているセル
- “yyyy年mm月dd日”:変換後の日付形式
上記の例では、A2セルに入力された日付を、日本の一般的な日付形式に変換します。
AI.FORMAT関数の注意点
- フォーマットの指定: 正しいフォーマットを指定しないと、意図した結果が得られないことがあります。
- 複雑な変換: 非常に複雑な変換を行う場合は、複数の関数と組み合わせる必要がある場合があります。
- 地域設定: 地域設定によって、日付や数値の表示形式が異なる場合があります。
AI.LIST関数
ExcelのAI関数「AI.LIST」は、あなたの指示に基づいて、様々なリストを自動生成してくれる便利な機能です。まるで、AI秘書があなたの要望を聞き、必要なリストを作成してくれるようなイメージです。
AI.LIST関数でできることの一例
- アイデア出し: 「新しい商品のアイデアを5つ出して」といった指示で、新しい商品アイデアのリストを作成できます。
- タスクリスト作成: 「今日のやることをリストアップして」といった指示で、今日のやることリストを作成できます。
- 買い物リスト作成: 「来週の夕食の食材リストを作成して」といった指示で、買い物リストを作成できます。
- 旅行計画: 「来週の沖縄旅行の観光スポットを5つ教えて」といった指示で、観光スポットのリストを作成できます。
AI.LIST関数の仕組み
AI.LIST関数は、自然言語処理の技術を用いて、あなたの指示を理解し、それに基づいたリストを作成します。
具体的な仕組み
- 指示の入力: 作成したいリストの内容を自然言語で入力します。
- リスト生成: AIがあなたの指示を理解し、リストを作成します。
- リストの出力: 作成されたリストがセルに表示されます。
AI.LIST関数の活用例
Excel
=AI.LIST("東京でおすすめのラーメン屋を5つ教えて")
上記の例では、「東京でおすすめのラーメン屋を5つ教えて」という指示に対して、AIが5つのラーメン屋のリストを作成します。
AI.LIST関数の注意点
- 指示の明確さ: 指示が曖昧だと、意図した結果が得られない場合があります。
- 生成されるリストの内容: AIが生成するリストの内容は、AIが学習したデータに依存します。
- リストの長さ: 生成されるリストの長さは、指示の内容によって異なります。
AI.TABLE関数
ExcelのAI関数「AI.TABLE」は、自然言語で指示を与えるだけで、複雑なデータ分析や可視化を自動で行うことができる強力なツールです。
AI.TABLE関数でできることの一例
- データの集計: 大量のデータを指定した条件で集計し、表形式で表示できます。
- グラフの作成: 集計結果を基に、様々な種類のグラフを自動で作成できます。
- データの分類: データをカテゴリーに分けて、それぞれの特性を分析できます。
- 異常値の検出: データの中から、他のデータと大きく異なる異常値を検出できます。
- 予測分析: 過去のデータから未来を予測し、意思決定の支援を行います。
AI.TABLE関数の仕組み
AI.TABLE関数は、自然言語処理と機械学習の技術を組み合わせることで、人間が自然な言葉で与えた指示を理解し、それに基づいた処理を行います。
具体的な仕組み
- 指示の入力: 分析したいデータと、行いたい分析内容を自然言語で入力します。
- データの理解: AIが入力されたデータを理解し、分析に必要な情報を抽出します。
- 分析の実行: 抽出された情報に基づいて、指定された分析を行います。
- 結果の表示: 分析結果を表形式で表示します。
AI.TABLE関数の活用例
Excel
=AI.TABLE(A2:D10, "売上データを製品別に集計し、グラフで表示")
上記の例では、A2からD10の範囲にある売上データを製品別に集計し、グラフを作成します。
AI.TABLE関数の注意点
- 指示の明確さ: 指示が曖昧だと、意図した結果が得られない場合があります。
- データの質: 分析に使用するデータの質が、結果の精度に大きく影響します。
- 計算資源: 大量のデータを分析する場合、計算時間がかかることがあります。
AI.TRANSLATE関数
ExcelのAI関数「AI.TRANSLATE」は、様々な言語間の翻訳を自動で行うことができる便利な機能です。まるで、世界中の言葉を話せる万能翻訳機のような存在です。
AI.TRANSLATE関数でできることの一例
- 日本語から英語への翻訳: ビジネス文書、メール、ウェブサイトなど、様々な種類のテキストを日本語から英語に翻訳できます。
- 英語から日本語への翻訳: 外国語の資料を日本語に翻訳し、内容を理解することができます。
- 多言語間の翻訳: 日本語、英語だけでなく、フランス語、ドイツ語、中国語など、多くの言語間の翻訳に対応しています。
- 専門用語の翻訳: 特定の分野の専門用語も、ある程度正確に翻訳することができます。
AI.TRANSLATE関数の仕組み
AI.TRANSLATE関数は、ニューラル機械翻訳という技術を用いて、自然な翻訳を実現しています。大量の翻訳データを学習することで、文脈を理解し、より自然な翻訳結果を出力します。
具体的な仕組み
- 翻訳するテキストの入力: 翻訳したいテキストを入力します。
- 翻訳先の言語の指定: 翻訳先の言語を指定します。
- 翻訳の実行: AIがテキストを分析し、指定された言語に翻訳します。
AI.TRANSLATE関数の活用例
Excel
=AI.TRANSLATE(A2, "en")
上記の例では、A2セルに入力された日本語のテキストを英語に翻訳します。
AI.TRANSLATE関数の注意点
- 翻訳精度: 複雑な文構造や専門用語を含むテキストでは、誤訳が発生する可能性があります。
- ニュアンス: 言葉のニュアンスや文化的な背景は、正確に翻訳できない場合があります。
- インターネット接続: 翻訳にはインターネット接続が必要です。
まとめ:AI関数でExcelは無限の可能性を秘めた最強ツールへ
いかがでしたでしょうか?今回ご紹介したAI関数は、Excelの可能性を大きく広げ、あなたの業務効率を劇的に向上させる強力な武器となります。
- AI.ASK関数で瞬時に答えを得て、情報収集の時間を大幅に短縮。
- AI.CHOICE関数で最適な選択肢を見つけ出し、データに基づいた意思決定をサポート。
- AI.EXTRACT関数でテキストデータから必要な情報を素早く抽出し、データ整理を効率化。
- AI.FILL関数でデータ入力の煩わしさから解放され、より創造的な作業に集中。
- AI.FORMAT関数でデータを自由自在に整形し、見やすく分かりやすいレポートを作成。
- AI.LIST関数でアイデア出しやリスト作成を自動化し、企画力を向上。
- AI.TABLE関数で複雑なデータ分析も瞬時に行い、データ活用を加速。
- AI.TRANSLATE関数で言語の壁を乗り越え、グローバルなビジネス展開を支援。
これらのAI関数を使いこなせば、Excelは単なる表計算ソフトから、あなたのビジネスを強力にサポートする万能ツールへと進化します。
AI技術は日々進化しており、今後もさらに便利なAI関数が登場することが期待されます。これらのツールを積極的に活用し、あなたの業務をより効率的で創造的なものに変えていきましょう。